気持ちだけ…又ね

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M子ちゃん…覚えてる…
「M子ちゃん、どうしてるの?元気なの」と、聞くと
「M子ちゃん、借金返済してお金貯めて店、開いてるらしいよ…一度も行ってないし…今日ちょうどいいから行ってみないか…D(夫)の事ショック受けたって…あなたの事も心配してたって、会いたがっていたってよ」とYuちゃんが…どう…今日行ってみる?と聞いてきた
「う~ん、今日は…ちょっと無理…これからどこまで帰ると思ってるのよ」と断ってから
「元気でやってるんなら…もう、それでいいわ…あの彼と一緒なの?」と聞くと
「いや…良くわからないけど…“あの時”のことで結局別れたんじゃないか」と“あの時”とYuちゃんは口にした
そう、あの時…もう、30数年になるかもしれない
M子ちゃんは夫やYuちゃんや、仲間たちがよく飲みに行ってた銀座のバーで働いていた女の子で、その店はあるモデルクラブの女の子達が何人かアルバイトしていてM子ちゃんはその中の一人だった
とても綺麗な女の子だったが、他の子みたいにきゃぴきゃぴとした感じはなくちょっと地味でおとなしい感じだったが包み込むような優しさがあった
何か気が付くといつも私の横に座っていていたので結構プライベートな話を聞いたりしていた
ボクサーの彼がいてそのボクサーの彼も銀座でお店をやっていると聞いた
「そっちは手伝わないの?」と聞くと「すぐ喧嘩になって…別々の店で働いている方がいいの」と言い
「あまり…うまくいってないの最近…向こうはなんかイライラしてるし…」と聞いていた
それからひと月ほど経ったある日、
夫が仲間と飲んでその店にも寄ってきたと言ったので「M子ちゃん、元気にしてた?」と聞くと
「いないよ…もう…って言うより…」と夫はなんか口ごもったので「何?…何よ」と聞くと
「う~ん…何か…トルコに行ったってよ」と夫は何か軽く言った、私は一瞬きょとんとして…
「トルコって…中東の…」と聞くと、夫は私の頭にボンと手を載せると「お風呂屋さんだよ…トルコ風呂(当時はそんな風に呼ばれていた)」と言った
私は吃驚して痴呆のように口を開けたまま夫を見ていたが…
「トルコ風呂って…何しに…嘘!!!~働いているの」と叫んでしまった
夫は落ち着かせるように私の背中をさすると
「人には其々事情があるんだよ…M子ちゃんはちゃんと納得して行ったらしいから、お前が叫ぶことないんだよ…それより何か軽く食べれる物作ってよ」とキッチンの方に押した
私がそお言うことですぐ感情的になる性格なのを知っていて夫は話を大きくしないように終わらせ、眠りたいようだったが、私は叫び続けて夫から聞き出した
夫の話ではボクサーの彼が大きな借金をして返済できなくなり脅されて
その返済をするのにお金の貸主にトルコ風呂を紹介されてM子ちゃんが働きに行くようになったらしい
「そんなあ…夫婦でもないのに…お金の貸主はM子ちゃんのこと知ってたの?ボクサーの彼がM子ちゃんを売ったんじゃないの…」
「万が一そうだって傍のものが何を言えるんだよ…M子ちゃんは納得して行ったらしいし、帰りは彼が迎えに行ってるらしいよ」
「だから何よ!当たり前じゃない!」と何か憤懣やるかたなかったが夫はそうそうに寝てしまったので、私も寝るしかなかったが寝付くまでいろいろ考えてしまった
次その店に行った時に、私が腹立てたと夫から聞いたのかママが私の横に座って
「M子ね…けっこう売れてるらしいわよ…優しい子だったからお客さんが癒されるんじゃないの、この間ラーメン屋さんで仲間の女の子たちと楽しそうにやってたって…見た人が言ってたわ
人間ていつもまともにいられない…そんな試練に会う人もいるのよ、肝心なのは絶対負けない事よ
強くその状況を乗り越えて行く事があの娘のプライドだと思う…あの娘にとって同情が一番嫌だろうし…この店に顔出したらね、大変ね~とか可哀想とか一切言わない…どう、元気でやってるの、そう言ってやろうと思うの」と話した
ママの話を聞いて、そりゃあそうだと思った
可哀想なんて人に思ったり、言ったりするのは失礼な話で良き理解者である事が一番なのだね
それにしても、人に強制されて行くなんて…江戸時代の吉原じゃあるまいし…
さしずめ近松もの風に言えば
身を売る前の日、雪降る中恋しい人と寄り添い抱きあい一歩一歩あの世へと歩いて行くところだけどネ

「今日、これで帰っちゃうの」とYuちゃんが聞いてきたので
「うん、夜はもう無理…昔みたいにいかないわ」と言うのに聞こえなかったのか
「今度バンド出るとき連絡するから来てよ…また会いたいよ、仲間だもの」と言った
「だから…」と言いかけて「うん、そうね…」と言って帰ってきた


                          060.gif069.gif070.gif気持ちだけはね…又ね
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by time2022 | 2016-07-08 10:27 | 日記

2017年 11年目の海辺暮らしとなりました       黄昏て70才 撮りためた写真でその時思った事、今思う事等を、書き綴っていきますブログ内の写真イラストの使用を禁じます


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