確信

巡回の婦警さんから「変な電話かかって来ない?…大丈夫?なるべく留守電にしておいた方が良いわよ」などと、いつものように振り込み詐欺などの注意や実際有った事など聞いている時、そお言えば…昔…電話の…そんな事があったなあ…と、或る出来事を思い出した
その頃は留守電などとの便利な機能が無い頃で若い女の子などは、よく悪戯電話などに悩まされた…
そして…一人の知人女性を思い出した

H子さんは漫画のストーリーを書く人で年はだいぶ上の方だったが話が面白く仕事柄かとてもユニークな人柄で出会ってすぐ仲良くなった
築40年ぐらいの民家の二階のちいちゃな台所とトイレが付いた学生の下宿先のような6畳の部屋に二十年の永きに亘って住んでいた 知り合って何度か尋ねた事があるが殺風景な部屋で、吃驚したのは本の数で築40年の木造家屋の床が抜けるんじゃないかと心配するほど四方の壁に添って何重にも積み上げてあった
「これ…どこに何の本があるか分るんですか…?」と聞くと、目をつぶっても捜し出せると、頷いた
後は家具らしきものは無く原稿を書く座り机があるだけだった
髪は邪魔くさいと言って常に短く、自分で残バラに切って髪は卵で洗うのが一番と言い、通いの銭湯で卵で洗い流して注意をされたり
駅の構内で待ち合わせをすると人の行き交う真ん中で肩をぶつかられながら本を夢中になって読んでいるので
「何で真ん中にいるんですか、みんなの邪魔になって嫌な顔してましたよ」と言うと
「だって端で本読んでいたらあなた探すの時間かかるでしょ、真ん中で本読んでいたらすぐ分かるじゃない」と言い
「あゝ…私が…私がね…なるほど…」と納得するようなしないような、バッグに何時も吸わないたばこが入っているので、どうして?と聞くと怪我の傷口に煙草の灰が消毒に良いのよ、と独自の見解を持っており他にも驚かされる事がいっぱいあった
その頃私は無言のいたずら電話に悩まされている時で、そもそも出会ってH子さんと仲良くなったのも無言電話の話をした事がきっかけだった
その頃その電話は毎日のように朝昼夕と頻繁に掛ってきていつも無言だった…
彼女はとても興味深く聞いていて、その頃電話番号を教えた人はいないのかとか…最近の知り合いはいないのかとかいろいろ推理をしてくれた
そして心配して電話も良くくれた
彼女はストリーを書くのでそんな興味もあったのかも知れない
「完全犯罪と言うのはね事件が起きて犯人が解らないというのじゃ無くて…そもそも犯罪自体判らないのが完全犯罪で…たとえば自動車の交通量が結構激しい道路を歩いている時、向うに渡るのに横断歩道がちょっと遠い時があるじゃない…その時に、渡っちゃう?…と耳元で囁いて…相手の気持ちをちょっと押してみるの、相手は信号まで歩いて行くの結構大変だなあと思ってる時で…そうだな…渡れそうだなと意を決して渡り始め、、真ん中に飛び出した辺りで「あっ!ちょっと!」と声を掛ける、一瞬動きが止まって…勢いで、走れば渡り切れるのに一瞬の躊躇いが命を落とす…そんな偶然が起きるかもしれない…誰もが目撃している自動車事故で事件にはならない…失敗したら次の偶然を狙えば良い訳で狙われてる本人さえ気づかない……とかね?」とトリックのヒントなどの書いてあるノートを捲っては持論を語って見せた
私のいたずら電話はだんだん治まるどころか夜中2時ごろにもかかって来るようになりエスカレートしているようで
不安が少し増していた
でも…夜中の電話は何か違和感を感じていた、何故なら夜八時以降は電話が掛った事が無かったので、昼、勤めている人で家族か同居人と暮らしている人で夜は掛けられない環境にある人と自分なりに推理していたので…あれ?環境でも変わったのかなと腑に落ちなかった
夜中2時の電話はそう頻繁になかったが…或る日久しぶりに夜、2時にり~ンとなったので電話機を見つめていたのだが6回ほど鳴ったところで、或る疑惑を持って受話器を取った
「もしもし…もしもし…」と呼び掛けたが相手が息をつめて無言でいるのが伝わってきた
私は左手で受話器を持ったまま右中指で一度電話を切りH子さんの番号を回した、もちろん掛けてきた相手が切らない限り電話は切れていない…それでも一度電話を切り番号を回してみた…相手の電話は切れていない…
「H子さん、起きてた?またかかってきたのよ夜中で悪いけど恐くて起きてるかなと電話したの」と話しかけるとちょっと間があって
「あ!吃驚した受話器持ち上げるとあなたの声がしたので吃驚しちゃった」とちょっと動揺したH子さんの声が返ってきた
「今呼び鈴鳴った?」と聞くと「鳴ったわよ…ならなければ出る訳ないじゃない…」と言うので
「そうですよね…こちらでは呼び鈴が聞こえなかったのでH子さんて呼びかけたらH子さんの声がしたので吃驚した…遅いのに起こしてしまったでしょう?ごめんね…一旦切ります」と言って電話を切った
「最近トイレで2時ごろ目が冷めちゃって嫌になっちゃう」と彼女が言ってたのを聞いて「ん?…」とちょっと引っかかった
夜中の電話はH子さんだった…間違いない…私が怯えるのを観察したかったのかも知れない
彼女とは短期間の付き合いだったが、その短い間でも私が困ってる事や不便にしてる事わりと困難な事でもとても助けくれたのでその感謝の気持ちこそあれ、彼女をどうこう思う気持ちは無かったが…心理的な実験にこれからも使われそうで、信頼が崩れてしまったので付き合いは終えてしまった
彼女からは訳の分からない恨み言の電話を貰ったがどんなに問いただされても疑惑の電話の事は一切言わなかった
詐欺と悪戯はぜんぜん違うものだが、悪戯電話の掛ってきた同時期、ふと…私の前に現れ…そして私が消し去ってしまったH子さんの事を婦警さんの話を聞きながら思い出していた
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                            023.gif元気かなあ
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by time2022 | 2016-05-10 07:10 | 日記

2017年 11年目の海辺暮らしとなりました       黄昏て70才 撮りためた写真でその時思った事、今思う事等を、書き綴っていきますブログ内の写真イラストの使用を禁じます

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