魅力

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夫の友人のN君と待ち合わせをするといつも“その”店だった
他所で飲んでいてもいつしか“その”店に引っ張って行かれた
その店は六本木の中心からちょっと外れたビルの3階にある小さなクラブで
ママは女優さんだと聞いたが、テレビの画面でも映画でもその姿はあまり見たことは無かった
でも、潤んだような黒い瞳と濡れた唇、豊かな胸を強調するようなドレスをいつも着ていて、肉感的な美しい人で、確かに女優らしいオーラは供えた人ではあった
店の客も業界の人達が多く、いつも混んでいた
そんなママにN君はぞっこんで、その店に行くと私達にコップを取って来たり、おしぼりを渡してくれたり店の人のように振る舞っていた
ママは囁くような口調で相手を見つめて話すので、男の客は皆魂を奪われて、ママに夢中だったが…私にはちょっと退屈な店だった
「あのママモデルにして写真撮るとどう?」…と夫に言うと、「ママを…?」と言って夫はフッと笑った
「表情が一つしかないからなぁ…向かないな…バービー人形みたいだろう?綺麗だけど表情が無い…」
そして私に振り向いて「だから、しばらくいると飽きるだろう?」と私の心を見透かすように笑った
それから少しして深夜番組のコーナーにママが出演しているのを見た
店のお客さんのYさんと言うその番組の関係者が無理やりねじ込んだらしい
6人ぐらいの若いこれからの女優さん達の中の一人として出演していた
あきらかに年齢が少し上で、画面を通すと美貌が故に個性に欠けて、あのオーラがまるで消えてしまって
溌剌とした他の女優さん達の中に埋没してしまってる感じだった
「あんなに綺麗な人がこんなに普通に写るなんて…芸能界って凄いね…」と言うと
「そりゃあなんかの個性が無くちゃね…あの世界は美人なんて掃いて捨てるほどいる訳だからね…光るような個性がなかなかいないんじゃないの」と、夫
美人だけじゃ駄目…へ~女の魅力ってなかなか難しいものなんだなぁと考えさせられた
その後、N君とママの仲も微妙な感じになりN君のご執心も減り無理に引っ張ってかれる事も無くなった
あれから何十年もの歳月が流れた…
久しぶりに六本木に行って、ちょうどその場所がその店のあったあたりだなと気が付いた…
自分の記憶が正しければこの辺かなと思う所にはヒルズが大きく聳え立ち跡形もなく時代ごと何もかもが夢、幻と消えていた
ヒルズが建ってからもう十数年経つんだなあ…

因みにN君はその後、5歳上の自分で事務所を持つ才女と熱烈な恋愛をして結婚をした
今もとっても仲良く暮らしている


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by time2022 | 2015-10-15 08:17 | 日記

2017年 11年目の海辺暮らしとなりました       黄昏て70才 撮りためた写真でその時思った事、今思う事等を、書き綴っていきますブログ内の写真イラストの使用を禁じます


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