私達はさよならを言ってない

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私は何故だかその時一歩退いた、周りを囲んだ人達の後ろに身体をずらした
「ご臨終です…×時×分…」という言葉を外れて聞いてた
夫にしがみ付いて離れなかった私が…ぼんやりとその時その場から外れた
刻々と迫る逃げる事の出来ない現実を察していた…
婦長さんがあわてて夫の側に私を押し出した…
はじめて顔を伏せ号泣した…「いつも優しくて有難う…いっぱい愛してくれてありがとう」やっと声に出た…
でも遅い…奥さんの声だけは分るよって先生が言ってた時に…言えば良かった…いつも遅い
家に帰ろう…と言うと夫は頷いた…それきりだった
絶対死なないと信じていたから…夫に別れを告げていない
後々、担当の先生から「奥さんの事心配してたからね…」と聞いた
そして、管理人さんも「くれぐれも奥さんの事頼まれた…」と呼び止められて告げられた
そしてお義姉さんが「あなたの事だけを心配して逝っちゃったわね…」と写真を見ながら呟やくのを聞いていた
身内のいない私を案じたのだろう
私がこんなに孤独じゃ無かったら意外と「じゃあな…」と早々と逝ってしまったかも知れない
私には何も言わなかった…夫
私達は“さよなら”を言ってない
夏が去り、秋が深まり…もうすぐ長く寒い冬の始まり…そんな時、彼は逝ってしまった

その後いろいろな方から慰めや励ましの手紙や電話を頂いたが…だんだん引き籠りシャットアウトしてしまった
思い出は共有できない…
一人で夫の中に居たかった…
私の想う夫は、眩しげな眼差しで悪戯っぽく笑ってる“俺がいなくて淋しいだろう…”そんな風に言ってる
青い空に流れる雲を見ると端っこに夫が座ってるんじゃないかとずっと見てしまう
“私がいなくて淋しいでしょう…”そんな風に言ってみたい

お盆が又やって来る…毎年だね…あたりまえか…


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by time2022 | 2015-08-09 07:18 | 日記

2017年 11年目の海辺暮らしとなりました       黄昏て70才 撮りためた写真でその時思った事、今思う事等を、書き綴っていきますブログ内の写真イラストの使用を禁じます

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