サルヴァトール・アダモ

午前の授業を終えると一目散に学校を飛び出し走った…
仲間5,6人でコートの裾を翻し、マフラーを飛ばして必死に走った
学校近くの地下の喫茶店に走り込んでいく…
一番早くに着いた者が「モーニングセット6ッ個…」叫び、息も絶え絶えに注文をして椅子に転ろがり込む…
12時までに注文するとモーニングセットが珈琲について来るのだ
厚焼きトースト一枚とゆで卵だけだが、私達はそれが目当てで、次から次と息をからがら走り込んでいく
注文が認められたのが分かるとみんな椅子にそれぞれ安堵して倒れ込んだ
店の人も判っていて笑うのだが12時を一分超えても絶対認めてくれなかった
皆で手を合わせて拝んでも絶対駄目だった
その時はこの世で一番運の悪い人間達のように皆の落胆して吐く息がいっそう荒かった
でも…そこでちょっと皆が気付いたことがあった
ある特定のウェイターにY子が頼んだ時はほぼ注文が通る事に
Y子は肉感的で魅惑の眼差しを持っていた
だんだんとY子頑張れ!とY子頼みになっていって…
最後には、一度位デートをすれば100%注文が通るんじゃないかと皆で考えだし
悪だくみを企んだが当の本人がめんどくさくなるから嫌だ…彼に知れたら怒られると絶対拒否した
そうだ…Y子には相思相愛の彼がいたんだと、はたと気づき
それでも誰かがやろうと諦めず、他のメンバーもいろいろ事情がありA子に白羽の矢が当たった
A子は爽やかで小鹿のような可愛らしさがあり、いけるかもしれないと考え
特定のウェイターはY子の眼差しに惹かれてるという推測のもと
Y子は「私そんな事してない…分かんない」と嫌がったので、一番洞察力に優れたB子がY子を観察し二人を並べて特訓が始まった
「…まず…相手をじっと見て…あっいけないと言うように…目を逸らす…その時に…瞬くのよ、睫毛を」
「私、そんな事してる?」とY子は不満たらたらだったけど、A子は結構一生懸命で…
でも…何か…何度繰り返しても、目を患った患者のようにしか見えなくて…
これじゃあただ変な子になっちゃうという事であっけなく悪だくみは挫折した、のだが…
A子はそれ以来、瞬きがおかしくなって異常に瞬きを繰り返し、あれ?…Y子に似てきた…と言う結果を招き
Y子は意識的にかあまり瞬きを繰り返さないようになった
しかし瞳の深さは相変わらずで先天的な魅惑の瞳であった
友達を生贄にしようとまでして執着した厚焼きトーストとゆで卵はそれ以来もずっと時間との戦いであった
ギリギリ時間の戦いは皆で手を合わせて全員眼をしばしばさせたがなかなか通らなかった
なぜその店がそんなに良かったかというと、いつもBGMでアダモのシャンソンがかかっていた
この頃巷ではビートルズ旋風が巻き起こって、雨後の筍のように素人バンドが生まれていた
私達は、アダモの「ブルージンと皮ジャンバー」や「サントワマミー」にも酔いしれていた
シャンソン喫茶の銀巴里にも丸山明宏(三輪明宏)を見に(聞くというか見に行くって感じ…大変な美少年だった)行ったりもした
今はほとんど聞かないが甘酢っぱく、青春の匂いがして懐かしい…
アダモで「ブルージーンと皮ジャンバー」→


           
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by time2022 | 2014-12-08 05:46 | 日記

2017年 11年目の海辺暮らしとなりました       黄昏て70才 撮りためた写真でその時思った事、今思う事等を、書き綴っていきますブログ内の写真イラストの使用を禁じます

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